海辺のカフカ 下

※父親から告げられた呪いを、どのようにしてカフカ少年は乗り越えるのかは、この物語の最大のテーマ→この物語はカフカ少年が自身の呪いから解放されるための一連のストーリー→呪いから解放された時にこの物語は完結する

※愛の欠如からか、少年は何度か学校で暴力事件を起こしています。カフカ少年は精神的にかなり病んでいる

※カフカの怒りと恐怖→「怒り=なぜ母親は僕を見捨てたのだ」&「恐怖=僕は父親の言うようにひどい人間になってしまうのかもしれない」の矛盾した感情が同時に存在

人生なんてどう転んでもクソみたいなもんだ。小さい頃はそんなことを知らなかっただけ

ナカタさんの側にいると正しい位置にいる気になる。お釈迦さんやキリストの弟子もきっとそんな気分だったに違いない

子供の頃は生きているだけで何者かだった。生きている限り何者かだった。自然にそうなっていた。でも、いつの間にかそうではなくなってしまった。生きることによって、俺は何者でもなくなってしまった。それはおかしな話だ。人は生きるために生まれてくるのではないのか?それなのに生きれば生きるほど中身の無い空っぽの人間になってしまったようだ

※ネタバレ



田村カフカ→「あちら側の世界(森の奥)」から無事にこちらの世界に戻る。四国を離れ、電車で東京に戻ることを決意。大島さんとの別れを経て、新しい世界の一部となった自分を受け入れ、生きていく準備を整える

ナカタさん→図書館で安らかに息を引き取る。佐伯さんと再会してその魂(記憶)を受け取り、「入り口の石」を開くという自身の使命を完遂した後、眠るように亡くなった。

星野→ナカタさんの死後、彼の遺志を継いで「入り口の石」を閉じる。石を閉じた後、ナカタさんの死を看取り、自分を導いてくれた不思議な旅を終えて、日常の生活へと戻る

佐伯さん→自分の人生を振り返る手記を書き終え、ナカタさんと会った後に亡くなる長年抱え続けてきた「欠落」や過去の影をナカタさんに託し、ようやく長い旅を終えて眠りにつきました

さくら→カフカが東京に戻る際、電話で言葉を交わす。カフカにとっての「姉」のような役割を象徴する存在として、彼を優しく見守る姿勢を保ったまま、物語から退場。カフカは彼女との繋がりを心の支えとして保持

大島さん→森から戻ってきたカフカを見届け、東京へ帰る彼を高松駅で見送る。カフカに対して「君はもう僕の一部だ」という言葉をかけ、彼が現実の世界で生きていくための精神的な支えとなる。カフカが去った後も、彼は変わらず甲村記念図書館の司書として、静かな日常へと戻った

佐伯さんの「謎」と正体→佐伯さんは、ある過去の出来事をきっかけに「半分しか存在していない」状態になった人物として描かれています。「あちら側」へ行った過去: 20歳のとき、最愛の恋人を不慮の事故で亡くした彼女は、あまりの喪失感から一時的に「入り口」を開け、自身の半分(魂の一部)を「あちら側の世界」に置いてきてしまいました。 生霊(15歳の佐伯さん): その結果、彼女の15歳の頃の姿をした「生霊」が図書館に現れるようになります。この生霊は、彼女が最も幸福だった時代の影であり、カフカ少年はこの生霊の姿をした佐伯さんと交わることになります。 カフカの母親としての可能性: 作中では明言されませんが、カフカの父が遺した予言(母と交わる)や、彼女が過去に息子を捨てたことなどが示唆されており、読者の間ではカフカの母親であるという解釈が一般的です。

ナカタさんとの「魂」の共鳴と関係性 ナカタさんと佐伯さんは、直接の面識はありませんでしたが、「魂の半分を失った者同士」という深い共通点(相似形)で結ばれています。 共通の欠落: ナカタさん: 子供の頃の「山岡演習地事件」で魂の半分を失い、記憶や知能を失った代わりに猫と話せるようになりました。 

ナカタさんが四国を目指したのは、佐伯さんが開け放してしまった「入り口」を閉じるためでした。 物語の終盤、二人は図書館で対面します。佐伯さんは、自分の人生を記録した手記をナカタさんに託し、彼の手によってそれを焼き捨てるよう頼みます。 ナカタさんは彼女の死を看取り、その魂(記憶)を受け取ります。この出会いは、互いの欠落を埋め、物語を終焉に向かわせるための必然的な儀式としての意味を持っていました。 二人は同じ欠落を抱え、一方(佐伯さん)が開けた入り口を、もう一方(ナカタさん)が閉じるという、対(つい)になった運命を辿ったといえます

ジョニーウォーカーはなぜナカタさんに自信を殺させたのか→カフカ少年に対する「父殺し」の予言を成熟させるため。息子であるカフカに「父殺し」の呪縛を完成させ、彼を闇に引きずり込もうとした

カフカの父、田村浩一は、ある時期(妻が娘(さくら)をつれて出て行ってしまった時期)からその「邪悪なコンセプト」を受け入れるための「器(入れ物)」になっていたと考えられます。カフカの母と姉が家を出ていったことで、彼の内面の空洞にジョニー・ウォーカーのような形をした「純粋な暴力・悪」が入り込み、彼を支配していた

田村浩一の妻が出て行った理由は謎。しかし、佐伯さんを妻の正体としたとき、「半分しか存在しない」空虚な存在であったため、現実の家庭生活や母親という役割を維持し続けることが困難になったと考えられる。夫がカフカにかけた「父を殺し、母・姉と交わる」という呪わしい予言を知り、その運命の輪から逃れるために家族をバラバラに解体しようとしたという側面もある

Audible

村上 春樹

780円

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